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 Preakness S. Report
2006.05.23(Tue)
野蛮人の受難。
ケンタッキーダービーを6馬身差圧勝したバーバロとはスペイン語で「野蛮人」の意である(英語のbarbarianに相当する)。それを象徴するかのようなイラストが、Dairy Racing Formの表紙を飾っていた。

バーバロは前日オッズで2倍という圧倒的な人気を集めた。ダービー上位人気馬だったブラザーデレク、スウィートノーザンセイントの両頭が出走してきたもの、やはりメンバー落ちは明らかだった。周囲の注目は、バーバロがどのように勝つか。そして三冠の可能性は、ということだけだった。他馬の逆転はあり得ない……。
僕もバーバロを本命に、対抗には後ろから行くであろうグリーリーズレガシー、少頭数で今度こそスムーズな競馬ができそうなスウィートノーザンセイントを押さえに加えた3連単を本線にした。残りはバーバロから穴馬への馬単を少々、バーバロ、グリーリーを1、3着にした3連単などを買い、レースが一番良く見える位置に陣取った。
ファンファーレが鳴り、各馬がゲートインを開始する。すると、今までキュッと厳しい顔をしていた競馬場スタッフが、$20では立ち入れない内馬場への扉を開けて(Come In!)というジェスチャーを投げかけて来た。(無論、僕だけではなく場内にいた全ての人間に対してだが)「Year!!!!」という歓声とともに、内馬場へと流れ出る$20ピープル。心憎いサービスだった。
順調に見えたゲートインだったが、その時アクシデントが起こった。大本命バーバロがスタート前にゲートをこじ開けて、フライングしてしまったのである。すぐに係員が取り押さえ、ざっと馬体検査を行う。異常なし、ということでゲートインし直したのだが、場内にいやな雰囲気が漂った。よりにもよってバーバロが…そう思ったのは僕だけではあるまい。日本風に言えば「カンパイ」である。


ざわついた雰囲気の中、仕切り直しのスタートが切られた。

今度はキレイに各馬飛び出した。予想通りに、ライクナウが1枠を利してスルスルッとハナを切った。僕はバーバロの位置を巨大スクリーンで追った。その刹那…場内が「WHoooo!!!!」という歓声とも悲鳴ともつかないうねりに包まれた。「???」それは、ちょうど僕の正面を馬群が走り去った直後の出来事だった。一頭、明らかに“変”な下がり方をした馬が見えたのである。人の頭に邪魔されてどの馬か判別できない。すぐさま巨大スクリーンに目を移すと、それはバーバロだった。故障発生、競走中止。バーバロの三冠は潰えた。

えんじ色の悪魔。
ただ一頭下がって行くバーバロを尻目に、残る8頭のレースは続いていた。軽快に逃げるライクナウのすぐ後ろにはダービーの借りを返さんとばかりに積極的に攻めるスウィートノーザンセイント。ダービーでは大外&落鉄の憂き目にあったブラザーデレクも好位につける。

ちなみに、ブラザーデレクは逃げ馬である。ダービーまでは逃げて結果を出して来たが、ダービーでは逃げられず中途半端に差し込んで4着同着であった。今回は9頭立ての5番枠ということで、あるいは逃げるか、と思ったが行かなかった。しかしこれは行かないのではなく、「行けない」のである。つまりは地力不足はもはや明白だった。
最後のカーブに差しかかると、一気に馬群がつまった。スウィートがライクナウを捉え、つれてブラザーデレクも外を上がっていく。ライクナウがいっぱいになり、スウィートがはじめて先頭に躍り出た。グンッと1馬身ほど抜ける。あとは直線の追い比べである。ブラザーデレクは思いのほか手応えが悪い。スウィートが抜けるのかと思った瞬間、内埒沿いでジッと我慢していたバーナーディニに鞭が入った。

それは一速から急に五速にギアを入れるような加速。えんじ色の閃光はアッという間にブラザーデレクを抜き去り、スウィートノーザンセイントを射程距離に捉えてしまった。二頭の一騎打ちかと思われたゴール前も、すでに余力が尽きたスウィートを、バーナーディニは簡単に屠った。ひと追いごとに差は開き、終わってみれば5馬身1/4もの着差がついていたのだった。
  
1着バーナーディニ
2着スウィートノーザンセイント
3着ヘミングウェイズキイ
4着ブラザーデレク

もしもバーバロを知らなかったら…。
きっと、プリークネスSに現れた新星の恐ろしい切れただただ讃えただろう。しかし、レースのあと僕の心に残ったのは、やり場のない憤りと後味の悪さだけだった。どうしてバーバロが? あのフライングが原因だったのか。それならばその後の馬体検査で何故OKが出たのか。レース云々よりも、バーバロにまつわる不運の方が問題であった。競馬で「タラレバ」を言っても仕方がないが、もしバーバロが無事に走っていたら…と夢想してしまうのだ。勝った馬が強い---それは競馬の摂理である。しかし…。

バーバロを乗せた馬運車。場内のVTRでずっと中継されていた。
英国Racing Postのサイトに、あまりにも皮肉な写真が掲載されいる。いつまでこの写真が掲載されているか不明なので、こっそり拝借したい。こちら→→→→

プリークネスSが終わり、僕はなかば呆然としたまま帰路へと向かった。
今年のプリークネスSは悲劇だ。バーバロにとっても、勝ったバーナーディニにとっても、である。きっとバーバロが故障し、敗れたプリークネスSとして後年に語り継がれるからだ。きっと明日の新聞の一面は、バーナーディニではなくバーバロであろう、と思った。アメリカは強い馬(バーナーディニ)を得たが、偉大な馬(バーバロ)を失ったのである。
案の定、翌日の“Wasington Post”紙の一面は、痛々しいバーバロの姿だった。

Barbaro's Life in Jeopardy.(バーバロの命は危険にさらされている。)
Favorite Fractures Leg at Preakness.(本命馬の脚は、プリークネスで折れた。)

中面でも数ページを割いてバーバロ故障の検証を行っている。一方でバーナーディニの記事はオマケ程度に掲載されただけだった。
ケンタッキーダービーでバーバロの強さに酔い、(もしかしたら今年は三冠馬誕生イヤーになるかもしれない)という期待を持っていた。三冠レースだけが米国競馬の目的ではなかったが、やはり歴史の生まれる瞬間に立ち会えるかもしれない幸運には胸が躍った。しかしそれも露と消えてしまった。残る一冠、ベルモントSを見るべくNYに入ったが、僕は何を寄りどころにベルモントSを見ればいいのだろうか。

あとがき~Baltimoreの陽は暮れて。
紹介が遅れたが、この日は当Blogを通して知り合ったp4p.氏とピムリコ競馬場で会おう、という約束をしていた。そうは言っても当日はもの凄い人ごみが予想されていたし、顔を知らない僕の方からは探しようがない。会えたら御の字だと思っていたら、ふいに「人違いでなければ…」と声をかけられた。一瞬「?」となったが、すぐにp4p.氏だと悟り、奇跡的(大げさ?)な出会いに驚いた。プリークネスSは4度目だという氏の案内で場内をしばし探索し、久しぶりに日本語で競馬の話をした。非常に米国競馬に詳しく、色々参考になる話も伺えた。さらには帰り、Baltimoreのダウンタウンに用事があるということで、Amtrakのステーション近くへ車で送ってもらう施しまで受けてしまった。ベルモントSも観戦しに行くということなので、次はベルモントパーク競馬場で会う約束をして、さよならした。p4p.さん、本当にありがとうございました。

p4p.氏と記念に1枚。苦々しい表情は、暮れ行く夕日が眩しいのか。
はたまたプリークネスSの結末を苦々しく思っているのか。

最後にひと言。人はこれを夢の残骸とでも言うのか。それともアメリカ資本主義の現実?
 
競馬場裏手のストリートには、infieldでドンチャン騒ぎをした人々とそのゴミの山が。歩く人の目はうつろで(泥酔しすぎ)、まるでゾンビの群れのようだった。
ピムリコ競馬場は経営不振で、人が集まるのは年にプリークネスSの日だけだという。経済的にはプリークネスSさまさまだが、グダグダになった若者とゴミの山はピムリコ競馬場から大事な何かを奪ってしまう気がした。
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// 01:38 // アメリカ競馬-Pimlico // Trackback(0) // Comment(7)
<<安西先生、バスケがしたいです…。 | ホーム | Pimlico写真館 vol.2。>>
コメント
 
NYに到着したそうで何よりです。

プリークネス、さすがにへこみました。
目の前であれ見ちゃったらさすがにねぇ・・・
それに、死ぬまでにアメリカ三冠達成とテニスのグランドスラム達成を見てみたいと思っていて、今年はBarbaroとロジャー・フェデラー(グランドスラム最終戦のUSオープン男子決勝のチケットは購入済み)で二つとも望みが叶うんじゃないかなんて考えてたので、かなり残念です。
そんな精神状態で、レース後はぼやいてばかりでレース自体の話ができなかったので、ここで書きます。
Bernardini、圧勝でしたが、SweetnorthernsaintとBrother DerekはダービーでBarbaroにそれぞれ13馬身と9馬身負けてる馬たちですし、ダービー出走馬はダービーを目標にしていてプリークネスではダービー時に比べてデキ落ちである可能性も高いので、今回の結果だけではBernardiniがどれだけ強いかってのはわからないと思います。そもそもBarbaroが無事ならレース展開自体が全然違うものになってた可能性もあるわけで。3歳でトップクラスなのは間違いないと思いますが、Barbaroと比較するのはまだ早いってのが個人的見解です。ベルモントで他のダービー出走馬と対戦してくれたら今年の3歳の力関係がかなりはっきりすると思うんですが(特殊な距離なので距離適性や騎手の腕が大きく影響しますが)、現時点では出走するかどうか未定らしいです。かなりかっこいい切れ味でしたし、見栄えも品があるので、今後に期待はしてます。
// 2006.05.23 // 13:00 // URL // p4p. // edit //
 
丁寧な見解、ありがとうございます。
別のサイトで見かけたのですが、プリークネスSのBernardiniのベイヤー指数が117というかなりの数値だったとか。。。僕はこの指数がどれだけ価値ある物かはわかりません。というか信用していませんw(Sinister Minister…!!!!)
当然、Barbaroのアクシデントがなかったら、レース自体は全く別の展開になっていただろうし、おっしゃっていたように、Bernardiniがあれだけ切れることができたかも定かではありません。
僕の持論では、「どんなに有力馬でもレースに出られなかったら負け」と思ってきました。例えばアグネスタキオンですが、世間では幻の三冠馬、としきりに言われました。しかし、鞍上の河内は「出られなかったら負け」とコメントしています。これこそ勝負の世界、と感銘を受けたのです。
しかし、今回のことで少し変わるかもしれません。やはりBarbaroが無事に走りきったならば…とずっと思い続けるでしょう。そう言った意味では、今年のダービー~プリークネスの一連のレースは、僕の競馬観におおいに影響を与えてくれたのかもしれません。

ベルモントにBernardiniは出ないのでしょうか?
となると、かなり薄いメンツになりそうで…ww


// 2006.05.24 // 04:11 // URL // タカアキ // edit //
 
Bernardiniのベイヤーは結局113のようです。

Sinister MinisterのブルーグラスSでの12馬身差圧勝・ベイヤー116についてですが、キーンランド競馬場での圧勝・高ベイヤーはあてにならないかなと。
前2走を10馬身・ベイヤー113、5馬身1/4・ベイヤー111で圧勝したWonderin Boyがピムリコスペシャルで圧倒的一番人気になりましたが負けました。この馬の前2走はどちらもキーンランドでした。

アグネスタキオンは底を見せる前に引退できたラッキーな馬だと僕は思っています。
// 2006.05.24 // 09:34 // URL // p4p. // edit //
 
 「その刹那ーーー場内がWHoooo!!!!という歓声とも悲鳴ともつかないうねりに包まれた」。そう、私もそのうねりの源を得体の知れぬ焦燥感でつかみ出そうとしていたことを思い出した。大昔のダービー、1番人気嶋田功のタカツバキガが「変な下がりかた」どころか、スタート直後に落馬してしまった。
 タカツバキとは世間の注目度が圧倒的に違うバーバロの故障で、プリークネスレポートもどこで筆を措こうかと宙吊りのような感じを受けるけど、騎手が下馬した写真と勝利と悲劇を並べた写真はよくぞ載せてくれたと感謝するよ。
 後者の写真の最下列に情報がよければ勝つチャンスもふえるよというような新聞社のコピーが書かれているが、これもまた昔を思い出させてくれた。競馬やり始めの頃、道営競馬新聞には「前夜の検討、明日への勝利」と書かれていたものだ。以後座右の銘にしている。
 ところで、いくらバーバロが強そうだといっても、余りに少頭数ではないか。出走料がバカ高いとか何か。それに最近はピムリコも営業不振だとこのレポートに書いてあるが、何が原因なのか。東京のダービーが終わったら教えてください。
 
// 2006.05.25 // 06:39 // URL // トレンタム // edit //
 
>トレンタムさん
タカツバキのダービー落馬事件…無論リアルタイムで知るはずはありませんが、寺山エッセイでも何度か描かれたエピソードで、話としては知っていました。だからか、落馬と故障との違いはありますが、今回の結末はタカツバキの事件を想起しました。
今回のプリークネスSは、書きたいことが多く、しかしそれをどこからどうやって書けばいいのか。そしてどう終わればいいのか。劇的に?否、悲劇的に? 感傷的なりすぎず、かといって平らなレポートでは物足りない。ただ1レースを描く事の難しさと面白さを考えさせられたレースでした。
「ただレースを見るだけでは、その半分しか見た事にならない」そんなことを寺山は語っていました。前日にレ-スを推理するということは、勝つためだけでなく、レースの本質を見るためにも欠かせない作業なのかも。出馬表を眺めながら、自分の脳裏でレースを展開している瞬間が、もっとも面白かったりするのです。

ピムリコ競馬場の営業不振…請け負いですが、ひとつは州法でカジノが禁止されていることがあるそうです。どこかちょっと忘れてしまいましたが、規模も小さく、スクリーンもないようなチープな競馬場があるそうで、そこにはカジノが併設されているだけで大黒字ということです。詳しいことは、また分かりましたら…。


// 2006.05.26 // 01:59 // URL // タカアキ // edit //
 
DRF表紙イラストのBarbaro、シャドーロールがない。
なんていうどうでもいい事実に今頃気付きました。
// 2006.05.27 // 01:35 // URL // p4p. // edit //
 
あ、本当だ。。。。
しかも、目が血走りすぎですね。
ベルモントの表紙は、一体どの馬が来るんでしょうねぇ。。。
バーバロとバーナーディニが、集合写真で隅の方に囲みで出る欠席者みたいな感じで登場するんでしょうか。。こっちにそういう習慣があるかはわかりませんが(笑)
// 2006.05.27 // 11:20 // URL // タカアキ // edit //
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